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50歳の秋に思うこと

木々の葉も色付き、秋深まるボストン。
音楽が染入るように似合う街だと思う。
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(少し前に近所を散歩した時の写真。今はもっと色濃く紅葉している。)

今年50歳になり、既に6ヶ月が過ぎた。
特に意識している訳ではないが、この頃急に『年かな。』と思う出来事が増えた。
これまでどんな時にも誰より前向き、良い方角にしか向かわなかった自分に、こういう時が訪れるのだと神妙な心持ちでいる。
とはいえ、ノーベル賞受賞の同い年の山中教授も『これからが勝負』と仰っているし、そう、長く生きる分、様々なことを受止めつつ志高く動き続けるしかないのだけれど。

このところ、心底『斯くありたし』と思う御年80歳ほどの、人生の師と仰ぎたい大先輩と深く接する機会が多い。
ジョン・ウィリアムズ、ジョセフ・シルバースタイン、朝倉徳道氏、細田瑳一先生、野田一夫先生・・・

秘めた意思と個性は強いが、共通しているのは達観した先にある温和さと、規則正しく粛々とした日々の過ごし方。
その人柄や考え方、独特の佇まい、シンプルな毎日から大きな仕事を生み出す術のようなものを垣間みる機会を得て、畏敬の念と共に『ああ、このように年を取っていけたらいい、いくべきなのだ。』と腑に落ちる。
そうなれるかは別としても、進むべき道が示される如くの安心感を与えてもらうのだ。
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大学の新学期が始まって1ヶ月あまり。
上に書いたような意識の変化もあって、学生達へのレッスンにも熱が入る。

今秋から私のステューディオに入ってきた学生は、ハーバード大学2年生で、オーボエもやりたいと熱心だ。
これまでも秀逸な大学に通いつつ、オーボエを習いに来た学生は数年に一人位いたが、その後の進路は不明ということが多かった。
そりゃ、プロのオーボエ奏者になるというのは簡単ではないし、オーボエが他の道を究め、人生を豊かにする一助になっているのなら、本望なのだが。

今回のハーバードの学生は、どんな道を歩んでいくのだろうと、ちょっと楽しみにしている。
内心、いくら学業の成績が良くても音楽的にアサってな例をたくさん見て来たので要注意と思っていたが、実際に会ってその集中した瞳を見た時、オーボエを聴く前だったが『あ、この子を教えよう。』と、判断出来た。

レッスンの中で、私の発する言葉そのものだけでなく、裏にある大いなるもの(と言ってしまうが・・・音楽的経験は若い人達の何倍もあり、引き出しは無数のはずだから)、想像力を多いに効かせ、何が求められているのかを瞬時に感じ取る力があること。
そういう学生達と充実した秋の時間を過ごしたいと願っている。
by wkboston | 2012-10-16 03:09 | ボストン生活