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これだ!

これだ!_f0128982_7272967.jpg演奏活動の合間にオーボエのレッスンもしているが、音楽大学の生徒や受験生等アドバンスの生徒ばかりで初心者はいない。
オーボエキャンプやマスタークラスは別だが、長期間教えていくには、初心者は日程的にも精神的にも少々キツイ、が本音である。

ところが今日、人生初のオーボエレッスンとなるDを教えた。
Dは15歳、1月のボストンの教会でのコンサートを聴いて、
『オーボエの音色に魅せられました。ぜひオーボエを教えてください!』と直接言ってきたのだ。
よくある一瞬の気の迷いかな、としばらく返事はしないでいたら、毎週、日曜礼拝で会う度に『あの・・レッスン始めたいのですが』とか、『楽器を手に入れて練習を始めています』などと言って来るので、ついに今日、第1回目のレッスンをしてみたわけだ。

ド・レ・・・ミャァー・ファ・・ゾーッ・・と、延々1時間余り。
さずがの我が娘も、聞きなれない音の連続に、お昼寝タイムを妨害されたようで、機嫌が悪かったぞ。
彼の持っている音は悪くないような気もするが、こういうレッスンを続けるのは忍耐がいる。

まあ、誰でもやり始めというのはあるのであって、初めてのレッスンなんて、このようなものだと予想はしていた。
では何故、Dのレッスンをやってあげたのか。

Dの、やってみたい!という気持ちに押されたのである。

Dのように若い人の『これをやってみたい。こうしたい。これが好きだ。』という気持ちは、大切にしてやりたい。

思えば、自分も今までその想いだけで生きてきた。

誰かが良いといったなんて関係ない、
何か始めるときは紹介など待たずどんなに『偉い』先生にも直談判、
世間の評価はいつも二の次、
自分がこれだ!と思ったことが全ての選択の基準。

当たり前だと思うのだが、現実的には、様々な雑音が入ったり、大人の思惑や顔色伺いが関ってきて、意思を貫き続けるのは(特に日本では)エネルギーがいるようである。

でも、これだけ世界が近くなり、便利な世の中になり、情報も豊かで、様々な考え方・生き方を選択できる自由な時代には、自分の意思や、『これだ!』を見抜く力は益々、重要になると思うのだ。

まあ、自分の『これだ!』を信じてやってきたとは言っても、両親や先生等周りの大人たちは、若尾圭介のオーボエ人生を全うさせるために、裏でもいろいろと動いていたんだろうな、とは思う。顔色伺いなど未だに苦手なタチなので、両親はあちこちに謝りに行ったり、品物を届けたり、よくしていた。随分経ってからそういうことに感謝できるようになった、というのも本音だが。

でも、若い人には言いたい。周りの大人達を動かすくらいにならないと、と。
自分の『これだ!』がはっきりしていて、一心不乱に頑張っていれば、心ある大人はキミの為に、なんらかの協力をしてくれるはずである。
また、それが、『大人』の大事な務めのひとつであるとも思うのだ。

なんだか長くなったが、そんなわけで、Dに動かされて始まったオーボエレッスンなのである。
この先どうなるか。食いついてきてくれれば良いけど。
by wkboston | 2007-04-22 07:17 | オーボエ・音楽・他