2013年 10月 02日
潮田益子さんお別れの会@ニューイングランド音楽院
昨秋、NECファーストマンデーコンサートに出演した後の恒例ディナーでご一緒させて頂いたのがお会いした最後となった。
プライベートでのお付合いはなかったものの、あちこちでお会いすると「ケイスケさ〜ん!」と独特のハイトーンボイスで呼びかけて下さった。
ワカオ家パリ滞在中の5月末、お亡くなりになったと聞いて、とても驚いたのだ。
会では、益子さんの演奏DVDやたくさんの写真が映し出され、在りし日を偲んだ。
長女エリカさん、小澤征爾さんの代りに日本から駆け付けた征良さん、勿論、益子さんの夫、NEC元学長でチェリストのラリー・レッサーも様々な思い出話、今の心境を話したのだが、2年前に父を亡くした時のことも過り、それはもう涙無しには聞くことが出来なかった。
「出逢って一緒に歩んでこられて、幸せでした。」とスピーチを締括った、いつもは冷静沈着なあのラリーの言葉が少し詰まったのだから、ご家族としての喪失感の大きさを思った。
最後に益子さんの親しい音楽仲間、生徒達がジョーダンホールのステージに上がり、チャイコフスキー、弦楽セレナーデ作品48からエレジーとワルツを演奏。さすがにボストン、NYの実力派が揃って奏でる調べは重厚で奥深い寂しさが表現されていた。
場所を学院内のブラウンホールに移して、「食には拘っていた益子さんも喜んでくれると思う」という至極考えられたメニューの並ぶ立食レセプションが続いた。
これだけ多くの、特に著名な弦楽奏者が一堂に会するのも、そうは無い機会だったろう。
とにかく最初から最後まで心のこもったお別れの会で、音楽家として一生を全うした益子さんへの愛情と尊敬が溢れていた。
生まれ故郷ではない異国で、こんなふうに見送られた益子さんの波乱万丈で充実した人生に思いを馳せました。心からご冥福をお祈りします。