2010年 01月 14日
BSO X ヨーヨー・マ公演と飛入り出演
ヴァケーション気分も吹っ飛ぶアイオープナーな出来事(笑)があったので、そちらを先に。
先週から昨夜にかけて、2010年初っぱなのBSO公演は降り番。
父の状態によっては日本に帰国しようとも思っていてBSOにもその旨伝えてあった。
結局日本帰国はせず、ディズニークルーズに出掛けたのだが、とにかく数日間オーボエから離れてのんびりしていたわけだ。
そして、昨日。
午前中、久々のBSOリハーサルがあり、本番までの数日間で調子を戻そかなとぼんやり考えていたら。
(まだヴァケーション気分が抜けてない、切替に時間を要する私。)
午後5時前、首席オーボエのジョンから、
「風邪で今夜の公演に出演出来ない。代わりにやってくれないか。」
と、緊急電話。
「ええっと、プログラムはなんだったっけ。ヨーヨーがハイドンのチェロコンチェルトをやるのは知ってるけど。」
という全くもって危なっかしい状況で3時間後に開演のBSOコンサートに出演することに。
内心、ヨッシャ!やる気満々気分とヒェ〜・・・冷汗気分が交互に湧き上がる。
ヨーヨー・マが出演するとあって2600席余のシンフォニーホールも超満員。
ちなみにこの公演はコンサートマスターにアレキサンダー・ヴェリンゾン、チェロのトップはミハイル・ジョージャートゥと、昨年日本で共演し、今年6月も「第5回・代官山ヒルサイドテラス音楽祭」に出演予定の気心の知れた2人が重役を担っていた。
プログラムは以下の通り。
シューベルト「未完成」はご存知、オーボエソロの重要な曲である。
Boston Symphony Orchestra
January 12, 2010 8:00 PM
Symphony Hall, Boston, Massachusetts
Ton Koopman, conductor and harpsichord
Yo-Yo Ma, cello
HAYDN
Symphony No. 98
HAYDN
Cello Concerto No. 1 in C
C.P.E. BACH
Symphony in G, Wq. 183:4
SCHUBERT
Symphony in B minor, Unfinished
こうなったらベストを尽すしかないヨと肩ひじ抜いた感じでいったら結構うまくいったかな。
リードも全曲なんとかもってくれて助かった。
ヨーヨー・マはやはり素晴らしくて、実は誰にも真似出来ないことをやっているんだけれども、誰にでも分り易いように丁寧にひとつひとつ表現してみせている。かつ堂々たる王者の風格をも併せ持っていて。
大舞台であんなふうに自由でいられたら、それだけでも大いに惹きつけられるものでしょう。
最終曲シューベルト「未完成」で、お茶目なヨーヨーはチェロセクション3列目に座り、「飛入り」出演。チェロパートを弾いていた。
私は終わってから気が付いたんだけど。
そういえば拍手が聞こえたから、お客さんは喜んでいたみたい。
始まる前は曲、リードや楽器のことばかり考えていて、それどころではなかったのだ。
ヨーヨーはあれだけの大スターでありながら、大らかで温かい人格者。
いつも優しいことばかり言っている彼だけれど
「ケイスケ〜、素晴らしい演奏だったね。」
と、言われればそりゃ嬉しい。
シンフォニーホールを出ると、外は身体の芯まで冷える氷点下の寒い夜。
でも、ステージ上の興奮と汗がいつまでも心に残ってポカポカしながら清々しい気分で帰路についた。